脳卒中センター

薬剤科

脳卒中は早期の治療が大切で、薬物治療が大きく関わります。脳卒中には脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血があります。全ての病態において血圧を正常にすることが重要であり、血圧が高い場合には降圧薬が使用されます。脳梗塞では血栓ができないように、血液をさらさらにする薬を服用します。脳卒中では現在の症状を改善させることはもちろんですが、今後再発しないように予防することがとても大切です。

私たち薬剤師は、入院時にお薬手帳の情報や実際に患者さま、ご家族さまからの聞き取りをもとに、現在服用中の薬、副作用歴、アレルギー歴などを確認しています。その情報を医師、看護師にフィードバックし、情報共有を図っています。また、毎日医師、看護師とともに回診に同行しています。患者さまの服用している薬を医師に伝え、処方検討のサポートをしています。薬の剤形や増量減量の変更、用法用量の確認をその場で行うことで、スムーズに患者さまがお薬を服用できるようにしています。服薬指導では、それぞれの患者さまに適した対応を心がけています。新規のお薬が処方された患者さま、お薬の増量または減量などの変更がある患者さまに対してお薬説明書を用いて分かりやすく、丁寧に説明を行っています。退院時にはご本人さまとご家族さまに、退院後も安心安全な薬の服用ができるようにお薬の説明を行っています。

私たちは入院中だけでなく、退院後も患者さまが安心して薬の服用が続けられるように努めています。何か不安なことや気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

脳梗塞に使用する薬とは

急性期に使用する薬剤は大きく4つに分類されます。以下の薬剤はすべて注射薬です。

  1. 血栓溶解剤  アルテプラーゼ・ウロキナーゼ等
  2. 脳保護剤   エダラボン
  3. 抗血小板薬  オザグレル
  4. 抗血栓薬   アルガトロバン等

血栓溶解剤は発症後の時間経過により効果が期待できなくなるため、素早く注射を開始する必要があります。
脳保護剤は脳の過敏な反応を抑えることで、神経症状や機能障害などの悪化を抑えます。
その他にも、脳のむくみに対してグリマッケン(グリセリン)・マンニトール等があります。

慢性期に使用する薬剤は大きく2つに分類されます。

  1. 抗血小板薬   プレタール(シロスタゾール)・プラビックス(クロピドグレル) 等
  2. 抗凝固薬    ワーファリン(ワルファリン)・プラザキサ(ダビガトラン)・エリキュース(アピキサバン)・イグザレルト(リバロキサバン)・リクシアナ(エドキサバン)
  3. これらは主に再発予防のための内服薬です。予防薬は、普段辛い症状が現れないため自己中断につながりやすいです。しかし、一度中止してしまうと以前と同じ効果に戻るには時間がかかってしまうため、医師より中止の指示があるまでは服用を継続しましょう。

中止が必要なときは

抗血小板薬や抗凝固薬を服用中は血液がサラサラな状態になっているため、怪我をすると出血が止まりにくいです。そのため、抜歯や手術など出血を伴う処置をする際、中止が必要なときがあるため必ず服用している旨を伝えてください。服用中止後、身体から薬がなくなるまで時間がかかりますが、薬によりその期間が異なるため、中止の際は必ず医師の指示に従って中止しましょう。

注意が必要な主な薬剤

  • ○ワーファリン
    ワーファリンの効果がとても弱くなってしまうため、ビタミンKを多く含む青汁や緑黄色野菜、クロレラ等は食べないでください。また納豆のネバネバに含まれる納豆菌は摂取後約72時間も腸内でビタミンKを合成し続けるといわれるため食べてはいけません。
  • ○プレタール
    脳の血流が改善されその量が増加するときに頭痛や物が二重に見えるなどの症状を感じることがあります。多くの場合は身体が慣れて症状は治まりますが、強いときや長く続くときは相談しましょう。

薬同士だけでなく、食事によって薬の効果が変わることもあります。薬に影響を与える食事として有名なものに、納豆とワーファリン、高血圧の薬とグレープフルーツジュースがあります。グレープフルーツジュースは高血圧の薬だけでなく、脳梗塞、てんかんの薬の一部の薬など他の薬にも影響を与えることがあります。
グレープフルーツだけでなく、はっさく、夏みかん、スウィーティーも影響がみられますが、同じ柑橘系でもみかん、レモン、オレンジは薬に影響はありません。

たくさんの薬を同時に服用して大丈夫?

薬の中には、同時に服用することで互いの効果を強めたり、逆に弱めたりするものがあります。抗生剤や睡眠導入剤など様々な薬剤との相互作用によっても起こりえます。また、近年ジェネリック薬品の普及により名前は違うが同じ薬も多く、注意が必要になってきています。そのため、現在服用している薬の名前や量について、お薬手帳を利用するなどして正確に把握することが大切です。

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