診察室だより

母乳について

[2015/08/19]

母乳は赤ちゃんにとって素晴らしいもの、

“母乳が出ればぜひ母乳を飲ませたい”これは誰しも思うことですし、その通りです。

でも、母乳にも欠点があります。それは鉄分とカルシウムが不足しがちになることです。

もともと乳児期の後期から離乳の完了する1歳半くらいまでは、普通でも鉄が不足気味になります。akachan_junyu.png

粉ミルクはそれを考えて鉄分やカルシウムを補充してあります。

母乳でも、お母さんがしっかり栄養をとり、離乳食も順調に進めば問題はないはずです。

ただ最近、ちょうど1歳くらいで保育園に入り「なかなか風邪が治らない」「あまりにも頻繁に病気になる」といったお子さんの検査をしてみると鉄欠乏性貧血であることが多くあります。

お母さんに話を聞いてみると

『完全母乳で離乳食がしっかり食べられていない』というケースが多いのです。

またカルシウムも母乳では不足しがちで、加えて外遊びが少なくなった今、以前には見られなかった「くる病」が話題になってきました。社会環境が以前と変わってきた現在、母乳さえ飲んでいれば大丈夫、という考え方は少々危険だと思います。

また「何が何でも母乳」というのもおかしなことです。どうしても母乳が出ない人もいますし、お母さんの健康状態などによって、母乳があげられない人もいるのです。“母乳があげられない”などと悲観してしまうことの方が、赤ちゃんにとっては害になってしまいますし、たとえ母乳をあげているにしても、赤ちゃんの顔も見ずにスマホ片手にあげている人より、ミルクでも赤ちゃんの顔を見ながらしっかり授乳する方が、どれだけ赤ちゃんにとって良いかは明らかでしょう。

まして誰だかわからない人の母乳をインターネットで購入してあげる、というのは危険きわまりないことです。

インターネットの情報は信用できないものも沢山あります。ネットの情報に振り回されずに、

わからないことがあったら、是非かかりつけの小児科医に相談してください。

小林 真澄