診察室だより

夏本番を迎える前に・・・夏風邪と予防接種のおはなし

[2010/07/01]

梅雨に入り、うっとうしい日が続いています。
春先から、水痘とおたふくかぜが流行していましたが、水痘はひと段落したようです。 おたふくかぜは、まだ患者さんが続いて来ています。
最近はいかにも夏風邪という感じの発熱の患者さんがかなり来院されるようになりました。
高い熱がいきなり出て、咳や鼻水はあまり出ません。
のどが痛い、という場合もありますし、また少し吐き気がしたり、便がゆるくなったりすることもあります。
夏風邪のほとんどはウィルスが原因で多くは自然に治ります。
ただ、のどが痛くて水分がとれなかったり、また胃腸症状が強いと脱水になってしまいますから、注意して下さい。
また夏風邪のウィルスは、脳炎や髄膜炎を起こすことがあります。
高い熱が続いて、何度も吐いたり、頭痛を訴えたりする時はすぐに受診して下さい。

 

特徴的な夏風邪をいくつか紹介しておきます。

 

ヘルパンギーナ

38~40℃の高い熱が出て、口の奥に口内炎のような水疱ができます。のどが痛くて、食事もあまりとれません。熱は数日続くこともあります。水分もとれなくなって脱水症状になってしまうと、点滴や入院が必要になることもあります。
 

手足口病

手のひらや足の裏、指の間に小さな水疱のような発疹ができます。膝やお尻にできることもあります。高い熱はあまりでません。軽症ですむものがほとんどですが、中には脳炎やその他の神経合併症をおこすことがありますから、注意が必要です。
 

咽頭結膜熱

俗にプール熱ともいいますが、プールだけで感染するわけではありません。突然39℃をこえる高い熱で始まり、のどの痛みと眼の充血が起こります。アデノウィルスというウィルスが原因です感染力が強く、家族中にうつってしまったりします。完全に症状が軽快するまで学校や、幼稚園、保育園はお休みです。
 

その他、夏風邪ではありませんが、溶連菌感染症やとびひも夏によく流行ります。

 

溶連菌感染症

溶連菌という菌がのどに感染しておこります。発熱、のどの痛みや発赤、発疹が主な症状です。これは細菌感染ですから、抗生剤をきちんと飲まなければなりません。また治療後に腎炎のチェックのため尿検査をします。
 

とびひ

虫刺されや湿疹のところなどに、細菌が感染して皮膚が赤くなり皮がむけたようになったり、ジュクジュクしたりします。
どんどん広がっていくので、「とびひ」と言われます。小さい範囲なら、ぬり薬で治りますが、広がってしまったり、なかなか治りにくい時は、抗生剤を内服します。


最後に予防接種のお話です3歳のお子さんたちに、日本脳炎の予防接種のお知らせが届いていると思います。一時予防接種の差し控えがあったために、接種していない子どもたちが増えています日本脳炎は発症する患者さんは非常に少ないのですが、もし発症すると、死亡したり重篤な後遺症が残ったりするこわい病気です。また、中国、東南アジアなどではまだまだ多く発症しています。

chucha_soft.gifブタがウィルスを持っていて、そのブタを刺した蚊から人間にうつります。日本にもウィルスを持っているブタは、西日本を中心にたくさんいます。
本格的な夏を前にぜひ接種しておいて下さい。