診察室だより

診察室だより 2013年 12月

[2013/12/14]

今年もあとわずかになりました。小児科医にとって、クリスマスソングとともにやってくるのがインフルエンザとウィルス性胃腸炎です。
インフルエンザはまだ流行という感じではありませんが、ウィルス性胃腸炎と思われる患者さんは多いようです。
ウィルス性胃腸炎は、もちろんウィルスによる感染症ですから、根本的な治療薬はありません。もちろん抗生物質も効きません。
健康な子どもの場合は、ひどい脱水状態にならなければそれほど重症になりませんが、嘔吐が続くときは要注意です。
お母さんたちは、熱が高いと慌てて医療機関を受診しますが、発熱がないと結構嘔吐が続いていても様子をみてしまうことがあるようです。
子どもにとっては発熱よりも、嘔吐が続く方が体のダメージが大きいのです。
もし嘔吐が3回以上続いて、ぐったりしているときは早めに受診してください。
ただ、咳き込んで吐いたり、泣きすぎて吐くときは、腹圧といって、おなかに圧力がかかって吐くだけですので心配ありません。
気持ち悪そうにして、いきなり吐いて、そのあともぐったりしていたり、顔色が悪い時は注意してください。
吐いた後に水分をあげるときは、OS1や子ども用のイオン飲料などを、最初5~10ccずつくらいの少量を5~10分おきくらいに様子をみながらあげてください。
お子さんが飲みたいといったから、といって一度にたくさん飲ませると、それだけでまた吐いてしまいます。
少しずつ、根気よくあげることが大事です。それでも吐いて飲めない時は早く受診しましょう。
吐いたものの始末や、下痢のおむつを替えるときには注意が必要です。
できれば手袋をして、処理のあとはよく手を洗いましょう。
お子さんから、お父さん、お母さんにうつってしまったということはよくあります。
感染予防には何よりも手洗いが大切です。
最近市販でもアルコールの手の消毒剤が出ていますが、ノロウィルスには原則アルコールは効きません。
何よりも流水、石けんでよく手を洗うことが一番です。
年末年始、感染症が大流行しないことを祈るばかりです。

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