診察室だより

新型インフルエンザの流行について

[2009/09/04]

テレビ、新聞等のマスコミでも報道されているとおり、新型インフルエンザの流行が始まっています。新学期が始まり、感染はもっと広がるでしょう。


今回は幸い、以前から心配されていた強毒性のトリインフルエンザではありませんから、過剰な心配をする必要はないと思います。ただ、この流行は世界でも始めてのことですから、まだまだわからないことや予測のつかないことが沢山あります。
誰も抗体を持っていないわけですし、季節性のインフルエンザに比べて感染力も死亡率も高いといわれています。また、急激に起こる呼吸不全や脳症の報告もされています。例年の季節性インフルエンザでも小児では脳症も呼吸不全も起こりますが、今回の流行がどの程度の影響を起こすかは未知数です。

健康な子どもたちの多くは“タミフル”などの特別な薬を使わなくても自然に治るものですから、いたずらにあわてる必要もありません。ただし油断は禁物です。
下記にいくつかの注意点を挙げますので参考にして下さい。

 

1. インフルエンザかどうかの検査は発熱後すぐにはできません

なるべく早く受診をと報道されていますが、インフルエンザかどうかの検査は熱がでてから12時間(最低でも6~8時間)くらいたたないと正確には出ません。このことを踏まえて受診して下さい。
特に発熱後間もなく夜間救急を受診しても検査を断られることがあります。
また新型かどうかは保健所に届けて必要な場合のみ行う検査ですから、一般病院ではできません。
 

2. 発熱だけでお子さんがどうかなることはありません。

インフルエンザの場合、数日間高熱が続くのは自然経過です。ただし、次のことがある場合は、昼間はもちろん、夜間でもすぐに外来を受診して下さい。
 
けいれんを起こす
うとうと寝てばかりいて、声をかけても、刺激してもはっきりしない
わけのわからないことを言ったり、叫んだりして、きちんと対応できない
続けて吐く
急に顔色が悪くなり、息苦しいという
呼吸が苦しくなってゼーゼーしたり、肩で呼吸したり、あるいは呼吸とともに胸が上がり下がりして、浅く早い呼吸になる
水分も取れずぐったりする。あるいはいつもよりずっと尿量が少ない
 

3. 小さい子どもは短時間に症状が変化することがあります。

また年長の子どもはインフルエンザのために、外に飛び出すなどの異常行動を起こすことがあります。インフルエンザにかかって最初の数日間は目を離さないように注意しましょう。

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