脳神経外科疾患について

脳卒中・てんかんにかかわる専門的かつ濃厚な治療に加え、当院では脳神経外科疾患に対する各種外科治療を行っております。

包括的脳腫瘍センター

・脳腫瘍(グリオーマ)

脳腫瘍(グリオーマ)は、日本一の症例の経験のある東京女子医大脳神経外科と連携し、機能を温存するための術中ナビゲーション・術中モニタリングを地区唯一導入し、また術中蛍光療法や術中カルムスチン治療を行い摘出率の向上、生存期間の延長を図ります。そのほか、髄膜腫、下垂体腫瘍、転移性脳腫瘍など県南西部地区一手術を行っております。

・頭蓋底脳腫瘍

髄膜腫・聴神経腫瘍などの各種頭蓋底腫瘍につきましても術中ナビゲーションおよび術中モニタリング(VEP,SEP,MEP, ABR)を測定しながら最大限の摘出を目指します。

顔面けいれん・三叉神経痛

顔面けいれんおよび三叉神経痛(顔面の痛み)は、機能的疾患と呼ばれております。それらの症状がある場合には、顔面のけいれんや痛みで生活の質を落としてしまいます。当院では、術中モニタリングを行いながら久保田部長の豊富な症例のもと微小血管減圧術により高い症状の回復が得られております。

脳卒中後痙縮

脳卒中後のつっぱりは、大変つらいものです。当院ではまず、薬物治療を行い、その後症状の改善が見られない場合には、ボトックス治療を行っております。ボトックスは、痙縮のみられる筋肉に注射を行い、つっぱりを治す治療です。その効果は数か月と言われておりますが、それでも症状が強い場合には、ITBといい、硬膜下カテーテルを留置し、バクロフェンという薬剤を持続注入し痙縮を和らげる治療も行っています。

髄膜腫

良性腫瘍の中で最も多い腫瘍です。女性の方が男性よりも多く発生します。多くは脳の外側を包む膜から発生しますが、中には脳室内から発生することもあります。発育するにしたがって脳や神経を圧迫し、ある一定以上圧迫が強くなると、様々な症状が出ます。しかし、多くは脳ドッグや頭部外傷などで救急を受診したときに、CTやMRI画像検査で無症状のうちに偶然発見されます。基本的にゆっくり成長するので、小さいうちは定期的な画像検査による経過観察を行います。腫瘍が大きく、圧迫による影響がある場合は開頭による摘出術を行います。ガイドラインでは3cm以上で手術を考慮するとありますが、視神経近傍や後頭蓋窩など重要な神経や脳の圧迫の影響が出やすい場合はそれより小さくても手術を行うことがあります。また、非常に稀ですが、悪性髄膜腫というのもあり、すぐに増大、再発がしやすいものもあるため、指摘された後は定期的な画像検査を受けることが重要です。

髄膜腫は、頭蓋内の様々な場所に発生し、手術の難易度についても、比較的容易なものから摘出が非常に困難なものまで、部位や大きさ、硬さによって様々です。硬膜を栄養する動脈から髄膜腫も栄養されることが多く、血流が豊富な腫瘍については摘出前にカテーテルで腫瘍血管の塞栓術を行っておき、手術時の出血を減らす工夫がなされることもあります。

神経鞘腫(聴神経腫瘍など)

神経の鞘から発生する腫瘍であり、多いのは・・・・

頭蓋外から発生することもあります。多くは、頭蓋底付近に発生し、深い場所であることが多く、しかも神経を巻き込んだりすることが多いため、摘出には神経刺激などのモニタリングが欠かせません。当院では術中に刺激電極を用いて脳神経の刺激を行い、安全に手術するよう体制を整えています。最近はガンマナイフ治療の発展により、小さ目なものについては手術することは減ってきていると思われます。手術の対象になるのは、ガンマナイフがあてられないほど大きく、脳を圧迫している腫瘍ということになります。

転移性脳腫瘍

胃、大腸、肺、乳がんなどからがん細胞が脳に転移し、発育した腫瘍です。小さめの腫瘍であればガンマナイフで治療し、ガンマナイフで治療が困難な大きな腫瘍は開頭手術で摘出を行います。特に、小脳半球にできた大き目な転移性腫瘍は、圧迫により水頭症を来すことがあり、早期の摘出を行わなければならないことが多いです。

転移性脳腫瘍は、手術摘出だけでなく、ガンマナイフという選択肢がとても重要となります。治療も多様化しており、多発性転移に対してもガンマナイフが奏功することがあります。開頭手術では脳の損傷が大きくなりすぎるような、深い部分の腫瘍などはガンマナイフの良い適応と思われます。

開頭手術が必要なのは、大型で脳の圧迫が強く、ガンマナイフがそのままではかけられないものや、脳を圧迫し症状がすでに生じている場合、むくみ(脳浮腫)が強いもの、などです。

比較的大きくても、下の症例のように腫瘍の中身が液体化しているものは、手術で摘出がしやすく、手術で体積を充分減らしておいてガンマナイフを行うこともあります。

ガンマナイフを行うときは、比較的近隣にある、さいたまガンマナイフセンターと連携しております。

神経膠腫

5-ALAを用いて右前頭開頭で可及的に摘出を行った症例です。左前頭葉の病変は一部残さざるをえませんでした。術後放射線療法、テモゾロミド内服による後療法を行いました。

上衣腫 

40代の方。2週間前から進行するめまい、ふらつき、嘔吐で近医を受診し、紹介されました。脳幹近くの腫瘍によって髄液の通り道が閉塞し、水頭症となっていました。速やかに当院で手術を行い、脳室底を傷つけないように注意しながらほぼ全摘出しました。病理検査では退形成性上衣腫という、やや活性の高い腫瘍でしたので、術後に他院に依頼し放射線照射を行いました。後遺症なくお元気で外来通院され、5年以上再発なく経過中です。

悪性リンパ腫 

これは手術というよりも放射線治療と化学療法が奏功します。

下垂体腫瘍

脳神経外科